時間をかけて じっくりと癒す


 心の病

心の病には、いろいろな要因が複雑に絡まっていることが多いのです。心の病は氷山の一角にすぎないことが多く、長い歴史をもっていることも稀ではありません。人生の途中で起きた出来事に心が傷ついていたり、育った環境の中でできあがった「しこり」のようなもののために生き方を不自由にしていたり、混乱した精神状態のためにものの見方がゆがんでしまったりしているのです。それは、一人ではどうにもならないことが多いため、一般に心理療法やカウンセリングと言われるものには、認知行動療法やブリーフセラピーなどさまざまな技法が多数存在しています。


精神分析的心理療法

 精神分析的な心理療法あるいは精神分析は、
100年ほど前にウィーンのジークムント・フロイトによって発見され、その後フロイトの後を継ぐ人々によって開発されました。時代とともに、心理療法やカウンセリングはその後さまざまな手法が試みられましたが、精神分析は今日まで生き残り、米国や英国、ヨーロッパに多くの分析家がおり、心理療法を行っています。精神分析法は、もっとも伝統のある心理治療の形なのです。日本でもフロイト存命中に輸入されて、1950年代に学会ができ、その歴史はとても長いものです。

興味のある方は日本精神分析協会のホームページhttp://www.jpas.jp/をご覧ください。

本相談室で行われているのは

 精神分析的アプローチには、基本的に毎日のように行う精神分析、それを修正して週1回から3の精神分析的心理療法があります。本相談室では、長期的に腰をすえ、じっくりと関わるために、そのどちらも受けることができます(相談して、皆さんの事情によって選択していただきます)。

私たちのやり方は、いずれの方法を選択するにしても、

・心の病になった経緯を詳細に聞き

・その病がどんな風にその人の人生に関わっているかを一緒に考え

・セラピストとの信頼関係をつくることを通して

・病の原因や背景となっている複雑な綾を解きほぐしていく

・時間をかけて、セラピストとの治療関係のなかで、問題となっている関係を変えていく


というものです。心の病を複雑にしている原因である綾やしこりを別名「コンプレックス」と言いますが、それは一昼夜でできがったものではなく、長い間に出来上がってしまったものだから、時間をかけて解きほぐしていくのです。

私たちは心の病が作り上げてきた複雑な綾を解きほぐすためには、セラピストとの信頼関係、治療関係が不可欠だと考えてきました。ですから本相談室のセラピストたちは、長い間の訓練と教育を受けてきました。熟練したセラピストだけが、心の病の裏側でこんがらがっている原因や背景を解明しつつ、それを人間関係のなかで変化させていくことができるのです。

 時間をかけてじっくりと話を聞き、みなさんとの信頼関係の中で、心の病の下にある問題と付き合うことで、心の病が作り上げてきた人間関係の複雑な綾を、できる限り慎重に、できる限り丁寧に解きほぐしていくことが、私たちの願いです。